~ かつお節 と 私たちの 想い ~
幻の製法といわれる手火山製法(てびやませいほう)とは
紀伊の国 和歌山では 昔よりカツオ漁が盛んだったといわれています。当地は「かつお節」の発祥地ともいわれますが、その製法の一つに「手火山製法(てびやませいほう)」があり、このすさみの地でもかつてはその工場が立ち並んでいました。鰹の身質をほとんど損うことなく気品ある香りを生み、その旨味を最大限に引き出す秘伝の技法です。
手火山(てびやま)の名の由来は、職人が自らの「手」で熱さを確かめ窯の「火」を調整し、積み上げたセイロの「山」を頻繁に組み替えた事に拠ります。
しかし製造過程の労量が大変過大な製法のため、現存しているのは全世界で弊社ゆかりのベトナム工場とわずか数社しかありません。
この技法を守るため水産資源の豊富な南シナ海に面したベトナム工場で、日本の職人が長きに渡り現地のスタッフに指導して参りました。
日本の伝統技術が作り出したかつお節を 日本人に改めてお届けできればと 思います。
~ベトナム工場から日本までの道のり~
現地の従業員には入社して30年近く製造に携わる者もおり、守るべき手火山製法の伝統技法を受け継いでおります。
また熱帯の北限に位置する事から周辺にはサクラの照葉樹が自生しており、日本では信じられませんが、それらを薪として常用しております。桜の香りがする「かつお節」、その香りが日本の皆様に届きましたら大変幸甚でございます。
【原料水揚げ】
ベトナム工場は中部のダナン市にあり、この近海では上質の鰹が地元漁師により水揚げされます。 漁港から工場まで50mと近く、水揚げ直後に工場に運搬されます。
【原料選別】
ここでは鮮度選別、異魚種排除、異物排除を行っております。
鮮度の悪いものは漁師が持ち帰ります。
【生切り】
選りすぐられた鰹の頭と内臓を落とし3枚に下ろします。
さらに雄節(背)と雌節(腹)に切り分けます。
【血抜き洗浄】
切った鰹を洗浄していきます。
しっかり洗浄することで生臭さを取り除く事ができます。
【籠立て・血抜き】
完成時に形が整うよう腹側を下にしてサイズに合わせ、セイロに並べていきます。
ここでも上から水を流し、血抜きをしていきます。
【煮熱】
全てのかつおの中心温度を測定し95℃に到達してから10分以上茹で上げます。
【骨抜き、セイロ並べ】
桶に水を張り皮を半分ほどとウロコを除きます。
本節はあらゆる小骨をピンセットで抜き取ります。
【いよいよ 手火山(てびやま)焙乾です】
かつては すさみの地でも行われていた製法です。
10段に積み上がったセイロを下段の鰹節の状態を見ながら上下組み替えていきます。
8時間毎に「燻し」と「寝かし」を繰り返し、16時間サイクルを休むことなく繰り返します。
約30日間かけて、「燻(いぶ)し加工」をじっくり行います。
【製品選別】
サイズ、魚質での選別・排除を行います。
【金属探知機】
鉄やステンレスを検知する金属探知機に通し異物を除きます。
【製品梱包】
選別され金属探知機を通った製品を1匹1匹ダンボールに梱包していきます。
【計量】
梱包された製品を計量していきます。 間違いのないよう二人一組で計量していきます。。
【金属探知機・一時保管】
計量後、梱包された製品を再び金属探知機を通し、冷凍庫に一時保管し日本へと出荷されます。
【日本へ】
熟練技術をもつ職人達が丁寧に製造した鰹節を日本の和歌山県すさみ町の匠創海工場へ
たくさんの人と匠創海の物語を紡ぎたい
株式会社 匠創海
代表取締役
花尻明己-Akemi Hanajiri-
雄大な太平洋に面した和歌山県の南西部に、人口3,700人の 小さくも豊かな農山漁村「すさみ町」があります。
その中の見老津(みろづ)と言われる集落で廃校になった小学校跡を利用し、 匠創海は かつお節を削って加工しています。
この地で盛んだったカツオ漁から生まれたかつお節。手火山製法は 、現在ベトナムの職人さんたちに受け継がれ、今も自然の恵みで味付けられた美味しいかつお節を提供していただいています。
私たちが大事にしたいのは、かつおぶしの「商品」を売ることだけでなく、その過程にある「物語」こそ知ってほしいと思いました。
伝統製法で出来上がった製品には、携わった方々の手間と技術と心が込められています。私は、それが匠創海の「価値」だと信じています。
私たちは、かつお節の販売業者という枠に縛られることなく、たくさんの人との関わりの中で、社会における新たな価値を共に創造する会社でありたいと願います。